公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等に関す
る会計検査の結果についての報告書(要旨)
平
成
2
5
年
1
0
月
検査の背景及び実施状況
1 参議院からの検査要請の内容
(1) 検査の対象
国土交通省、農林水産省
(2) 検査の内容
公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等についての次の各事項である。
① 地震・津波に対する耐震基準等の改定状況
② 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況
③ 東日本大震災に伴う被災等の状況
2 24年報告の概要
上記の要請により平成24年次に実施した会計検査の結果について、24年10月17日に、
会計検査院長から参議院議長に対して報告し(以下、この報告を「24年報告」とい
う。)、その概要を平成23年度決算検査報告に掲記した(平成23年度決算検査報告1,14
2ページ参照)。
3 公共土木施設等における地震・津波対策の概要
(1) 災害対策基本法による地震・津波対策の枠組等
国の災害対策は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「災対法」とい
う。)に基づき内閣総理大臣を会長として内閣府に設置された中央防災会議が作成す
る防災基本計画(昭和38年6月策定)を基礎として行われている。そして、同計画に基
づき、国の指定行政機関及び指定公共機関は防災業務計画を作成し、都道府県は都道
府県地域防災計画を作成し、市町村は市町村地域防災計画を作成している。
災対法によれば、国の指定行政機関は、その責務として、都道府県及び市町村の地
域防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、その所掌事務について、当該都
道府県又は市町村に対して、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなけ
ればならないとされている。
国土交通省(13年1月5日以前は総理府北海道開発庁、運輸省及び建設省。以下同
じ。)及び農林水産省は、防災基本計画に基づき、それぞれ防災業務計画を作成し、
公共土木施設等の地震・津波対策について重点事項等を定めている。
緊急性等により国及び地方公共団体が緊密に連携して災害に対応できるよう、都道府
県地域防災計画においては防災業務計画に、市町村地域防災計画においては防災業務
計画又は都道府県地域防災計画にそれぞれ抵触しないものとされており、防災基本計
画と同様に、災害に対する予防、応急、復旧、復興対策のそれぞれの段階における体
制整備の諸施策について記述されている。
(2) 災害復旧制度の概要
災害復旧事業は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)
等に基づき、異常な天然現象によって被災した公共土木施設等を迅速かつ確実に復旧
することを目的として実施されるが、原形に復旧することを原則としている。ただし、
海岸線の移動その他の地形地盤の変動により原形に復旧することが不可能な場合や、
技術的あるいは経済的に変更した方が現実的な場合には従前の効用を復旧する範囲内
で形状、工法等を変更でき、また、広範囲にわたり被災している場合や、被災程度が
激甚な場合等は、原形に復旧することが不適当であるとして、必要最小限度において
質的改良が認められている。
公共土木施設等に災害が生じた場合は、地方公共団体の長はその状況を主務大臣等
に報告し、災害復旧事業の事業費の決定を受けようとするときは災害復旧事業の設計
書等に平面図、横断面図等を添付して、主務大臣等に申請しなければならないとされ
ている。そして、主務大臣等は、地方公共団体の長が提出する資料、実地調査の結果
等に基づいて事業費を決定している。なお、応急復旧工事に係る費用は原則として公
共土木施設等の管理者が負担すべきものであるが、早急に交通路を確保する必要があ
るなど、緊急に施行する必要がある箇所における応急復旧工事に係る費用については、
災害復旧事業の事業費に含めることができることとされている。また、国が実施する
公共土木施設等の災害復旧事業の取扱いは、各事業において要綱等が定められており、
上記の内容とおおむね同様となっている。
(3) 東日本大震災の概要
23年3月11日に発生した宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源とする東北地
方太平洋沖地震は、我が国における観測史上最大の規模であるマグニチュード9.0を記
録し、その最大震度は7、震源域は岩手県沖から茨城県沖までの南北約500km、東西約
200kmの広範囲に及び、東日本の太平洋側を中心に広い範囲で震度5強以上が観測され
広範囲にわたって甚大な被害を受けることとなった。また、津波以外にも、地震の揺
れや液状化、地盤沈下、ため池の決壊等によって被害が発生し、各種ライフラインも
寸断された。
4 検査の観点、着眼点、対象及び方法
(1) 検査の観点及び着眼点
会計検査院は、24年次において、公共土木施設等における地震・津波対策の実施状
況等に関する各事項について、①地震・津波に対する耐震基準等の改定状況について
は、東日本大震災を契機として適切に見直されているか、②地震・津波対策に係る整
備、補強等の進捗状況については、公共土木施設等は地震又は津波に対して有効に機
能するよう整備されているか、③東日本大震災に伴う被災等の状況については、公共
土木施設等の被災内容等は適切に把握されているか、地震・津波対策として整備した
公共土木施設等の効果は十分なものとなっていたかなどに着眼し検査を実施した。
そこで、25年次の検査においては、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、
24年次の着眼点に加えて、地震・津波に対する耐震基準等の改定状況については、各
事業の耐震基準等の規定は整合がとれているか、東日本大震災に伴う被災等の状況に
ついては、災害復旧事業により整備された公共土木施設等は今後発生すると想定され
る地震・津波に対して有効に機能するものとなっているかなどに着眼し検査を実施し
た。
(2) 検査の対象及び方法
会計検査院は、25年次において、国土交通省及び農林水産省が直轄事業又は補助事
業で整備した河川、海岸、砂防、道路整備、港湾整備、下水道、公園、治山、漁港整
備、農業農村整備、集落排水各事業の計11事業に係る公共土木施設等について、直轄
事業は7地方整備局等、5農政局及び5森林管理局を、補助事業は東日本大震災により
(注1) (注2) (注3)
甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県(以下、これらを合わせて「東北3県」とい
う。)及び茨城、千葉両県を含んだ計33道府県を検査の対象とした。 (注4)
そして、3府省、2独立行政法人及び9県において、公共土木施設等の整備事業の内
(注5) (注6) (注7)
容、地震・津波対策の実施状況、東日本大震災に伴う被災状況等について、資料を基
に説明を受けたり、調書等を徴したりなどするとともに、現地の状況等を確認するな
どして424人日を要して会計実地検査を行った。また、21道府県については、調書等 (注8)
存の関係資料を徴するなどするとともに、国土交通本省、農林水産本省等から情報を
収集することなどにより被災状況等の分析を行った。
(注1) 7地方整備局等 東北、関東、北陸、中部、中国、九州各地方整備局、
沖縄総合事務局
(注2) 5農政局 東北、関東、北陸、中国四国、九州各農政局
(注3) 5森林管理局 東北、関東、中部、四国、九州各森林管理局
(注4) 33道府県 北海道(後志総合、渡島総合、檜山、上川総合、留萌、
宗谷総合、オホーツク総合、根室各振興局管内)、京都府、岩手、 宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、 富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、三重、滋賀、奈良、和歌 山、鳥取、島根、山口、香川、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、 沖縄各県
(注5) 3府省 内閣府(内閣府本府及び沖縄総合事務局)、農林水産省(本
省、林野庁、水産庁、東北、関東、北陸、中国四国、九州各農政 局及び東北、関東、中部、四国、九州各森林管理局)、国土交通 省(本省、気象庁及び東北、関東、北陸、中部、中国、九州各地 方整備局)
(注6) 2独立行政法人 独立行政法人土木研究所、独立行政法人港湾空港技
術研究所
(注7) 9県 山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、長野、三重、和歌山各
県
(注8) 21道府県 北海道(後志総合、渡島総合、檜山、上川総合、留萌、
宗谷総合、オホーツク総合、根室各振興局管内)、京都府、秋田、 新潟、富山、石川、福井、山梨、岐阜、滋賀、奈良、鳥取、島根、 山口、香川、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄各県
検査の結果
1 地震・津波に対する耐震基準等の改定状況
(1) 耐震基準の改定状況等
24年報告以降、海岸、道路整備、港湾整備、農業農村整備、集落排水各事業の施設
の耐震基準等の改定が行われていた。また、河川、海岸、下水道、漁港整備、農業農
村整備、集落排水各事業の施設の耐震基準の規定の元となっている他の事業の施設の
耐震基準の規定が改定されていた。
(2) 耐震点検の要領等の作成状況
東日本大震災を踏まえて、河川事業においては、盛土による河川堤防についてレベ
ル2地震動に対する耐震点検の要領が作成され、道路整備事業においては、橋りょうに
ついて災害発生時の緊急点検の要領が作成されていた。
2 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況
(1) 地震・津波対策に係る公共土木施設等の整備状況
24年報告では、4地方整備局等、3農政局及び3森林管理局並びに、近年、切迫性が指
府県を含む15都道府県における24年3月末現在の各事業の公共土木施設等の地震・津波
対策に係る整備、補強等の進捗状況について記述した。
25年次は、5地方整備局等、4農政局及び4森林管理局並びに28道府県が実施してい
(注9) (注10) (注11) (注12)
る各事業において、24年次と同様に施設の機能に留意して24年12月末現在の地震・津
波対策に係る整備、補強等の進捗状況についてみたところ、主な検査の結果は、表1の
とおりとなっており、24年報告の検査の結果と同様に、ライフライン機能等の安全性
を損なうような事態や、災害発生直後から必要な救助、救急活動等に支障が生ずるお
それのある事態が見受けられた。
(注9) 5地方整備局等 北陸、中部、中国、九州各地方整備局、沖縄総合事
務局
(注10) 4農政局 関東、北陸、中国四国、九州各農政局
(注11) 4森林管理局 関東、中部、四国、九州各森林管理局
(注12) 28道府県 北海道(後志総合、渡島総合、檜山、上川総合、留萌、
宗谷総合、オホーツク総合、根室各振興局管内)、京都府、秋田、 山形、栃木、群馬、埼玉、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、 岐阜、三重、滋賀、奈良、和歌山、鳥取、島根、山口、香川、福 岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄各県
表1 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況の主な検査の結果 事 業 名 主な検査の結果
① 直轄事業においては、耐震性能照査により耐震対策工事が必要とされたラン 河川事業
クAの河川堤防について、工事が完了している河川堤防はほとんどなかった。 また、補助事業においては、河川堤防の照査等は、ほとんど実施されていない などの状況となっていた。
② 河川津波遡上範囲に設置されている水門等の中に耐震性能照査等が実施され ていない施設や自動化等されていない施設等があった。
③ 直轄事業におけるランクAの水門等において、耐震性能照査等が完了してい ない水門等が見受けられた。
① 海岸堤防の天端高等は東日本大震災以前の想定津波高と一概に比較できない 海岸事業
が、想定津波高より低くなっている地区海岸が見受けられた。
② 耐震点検や耐震対策工事が実施されていない海岸堤防が見受けられた。 ③ 要求される耐震性能が確保されていない又は確保されているか不明な海岸堤
防が見受けられた。
④ 耐震化が図られていない閉鎖施設が見受けられた。
⑤ 津波到達時間内に閉鎖作業が完了できない又は津波到達時間内に閉鎖操作者 が閉鎖作業を完了してから避難できない閉鎖施設が見受けられた。
⑥ 海岸堤防の施設整備の内容や閉鎖施設の実態に合っていない施設条件等を用 いて設定している津波浸水予測区域が見受けられた。
⑦ 津波ハザードマップを作成していない市町村が見受けられた。
⑧ 津波ハザードマップを作成しているものの必要な情報を記載していない市町 村が見受けられた。
避難場所が所在する土砂災害危険箇所における土砂災害防止施設の整備率は、 砂防事業
約2割となっており、また、同土砂災害危険箇所における基礎調査は完了していな いなどの状況となっていた。
① 昭和55年の道路橋示方書より古い基準が適用されている橋りょうで耐震対策 道路整備事業
工事が実施されていない橋りょうのある緊急輸送道路及び避難路の路線等が見 受けられた。
事 業 名 主な検査の結果
① 防災拠点港湾として一体となって機能する耐震強化岸壁、広場及び臨港道路 港湾整備事業
の所要の整備等が完了していないなどしていて受け持つべき緊急物資量に対し て取扱能力が不足している港湾が見受けられた。
② 想定される最大規模の地震直後から緊急物資輸送が可能な耐震強化岸壁が整 備されていないなどの港湾が見受けられた。
③ 津波による被害が想定される港湾について、津波ハザードマップ等が作成さ れていない港湾が見受けられるなどした。
① 耐震化が図られていない重要な管路及び終末処理場の消毒施設等が見受けら 下水道事業
れた。
② 管路工事の液状化対策について、密度試験や所要の強度試験を行っておら ず、施工管理が十分でない工事が見受けられた。
① 防災公園について、避難が可能な面積を算定し公表していなかった公園事業 公園事業
主体が見受けられた。
② 防災公園について、1人当たりの面積が基準の2㎡を下回っている公園事業主 体が見受けられた。
③ 防災公園について、災害発生時における運営方法等を明確にしていない公園 事業主体が見受けられるなどした。
① 山地災害危険地区における治山施設の整備は進捗しておらず、同危険地区の 治山事業
被害想定区域には人家、公共施設等の保全対象施設が多数存在していた。 ② 危険度の判定の際に重要となる避難場所等の保全対象施設が一部の地区で把
握されていなかった。
③ 山地災害危険地区の地域防災計画への情報の記載やハザードマップの作成等 による住民への必要な情報を周知している市町村は全体の一部となっていた。 ① 耐震強化岸壁の整備が未着手となっていたり、同岸壁背後にある漁港施設用 漁港整備事業
地等の液状化対策の検討が実施されていなかったりしている防災拠点漁港が見 受けられた。
② 緊急物資の仕分等のため必要とされる面積が不足している防災拠点漁港が見 受けられた。
③ 漁港背後集落等の避難場所が津波等の浸水予測区域内に立地している集落が 見受けられた。
① 耐震点検が実施されていないため池等の施設が多数見受けられた。 農業農村整備
..
② 決壊による下流への影響度が大きいため池が多数あり、また、ハザードマッ 事業
..
プが作成されているため池は全体の一部となっていた。
..
緊急輸送道路に埋設されるなど重要な管路の中には、液状化のおそれのある地 集落排水事業
盤等に敷設されている管路が見受けられるなどした。
(2) 国土交通省及び農林水産省における震災後の地震・津波対策の取組状況
国土交通省は、同省所管の河川、海岸、砂防、道路整備、港湾整備、下水道、公園
各事業において、東日本大震災を踏まえて、①設計に用いる地震動の見直し、②設計
津波の水位の設定の見直し、③津波の影響を考慮した設計方法の導入、④液状化対策
の導入、⑤施設の管理体制の構築等を行い各種耐震基準等を改定するなどしていると
ころである。
そして、24年報告の趣旨に沿い、河川事業においては耐震性能照査等における優先
度の考え方、海岸事業においては津波発生時における閉鎖施設の管理体制の構築、道
においては耐震強化岸壁等の防災拠点港湾における施設の整備等の促進、下水道事業
においては液状化対策工事の適切な施工管理等に関して地方公共団体等に通知を発し、
また、各地方ブロック会議等において助言するなどして周知徹底を図っている。
農林水産省は、同省所管の治山、漁港整備、農業農村整備、集落排水各事業におい
て、東日本大震災を踏まえて、防災上特に重要な施設等においては、①設計に用いる
地震動の見直し、②施設の重要度を考慮した津波外力の見直し、③津波の影響を考慮
した施設の耐水化対策等を行い各種耐震基準等を改定するなどしているところである。
そして、24年報告の趣旨に沿い、治山事業においては山地災害危険地区のデータの
更新、被害想定区域内にある保全対象施設の再調査、山地災害危険地区の標識の設置
等、漁港整備事業においては耐震強化岸壁等の防災拠点漁港における施設の整備等、
農業農村整備、集落排水両事業においては施設の重要度の判定を行った上で特に重要
度の高い農業用施設及び集落排水施設に対する耐震点検及び耐震整備の促進、ため池
のハザードマップの作成、管路の液状化対策の徹底等に関して地方公共団体等に通知
を発し、また、各地方ブロック会議等において助言するなどして周知徹底を図ってい
る。
なお、海岸事業については、農林水産省及び水産庁においても国土交通省と連携し
同様な取組を行っている。
3 東日本大震災に伴う被災等の状況
河川、海岸、砂防、道路整備、港湾整備、下水道、公園、治山、漁港整備、農業農村
整備、集落排水各事業における、被災状況及び復旧状況については、特定の範囲に絞っ
た状況について検査を実施した結果であるが、一定の状況が把握できたところであり、
これらの状況について、各事業ごとに整理すると次の(1)から(11)までのとおりである。
(1) 河川事業
東北、関東両地方整備局(以下「2地方整備局」という。)管内及び山形、茨城、栃
木、埼玉、千葉、新潟、長野各県の計7県(以下「河川7県」という。)管内において、
河川管理施設の被災箇所数は計719か所、河川堤防の被災延長は計180.3㎞となってい
た。
ア 2地方整備局管内及び河川7県管内の河川堤防について、河川堤防耐震点検マニュ
アル等に基づく耐震対策工事を実施していた40.8㎞は地震動による被災はしていな
(案)・同解説に基づく耐震性能照査の実施は一部にとどまっており、また、耐震
対策工事が必要と診断された12.2㎞においては工事が実施されていなかった。
イ 水門等について、耐震対策工事を実施していたことなどにより被災しなかった事
例や、遠隔操作化を図っていたことなどにより閉鎖できた事例、閉鎖状態の水門扉
による津波の遡上の軽減効果が確認された事例が見受けられた。
(2) 海岸事業
東北地方整備局管内並びに東北3県管内及び茨城、千葉両県管内の437地区海岸にお
いて、海岸堤防の施設延長364.2㎞のうち295.5㎞が被災しており、東北地方整備局管
内及び東北3県管内においては、被災前の施設延長の8割以上が被災した海岸が372地区
海岸、施設延長が262.7㎞となっていた。
ア 海岸堤防の整備済区間、天端高を嵩上げした区間、要求される耐震性能が確保さ
か さ
れている地区海岸において、海岸堤防や背後地の被災が比較的軽微となっている事
例が見受けられた一方で、無堤区間、天端高を嵩上げした区間に隣接した天端高が
低かった区間、耐震対策工事を実施していない地区海岸において、海岸堤防や背後
地が被災している事例が見受けられた。
イ 茨城、千葉両県管内の津波が発生していた27地区海岸の閉鎖施設82か所のうち、
災害発生時に閉鎖していない閉鎖施設が58か所見受けられ、このうち閉鎖施設41か
所は委託管理協定が締結されていないなど、閉鎖体制が十分となっていなかった。
ウ 海岸堤防による津波被害軽減効果のほか、盛土構造の道路、公園等にある樹林帯
等により津波の侵入を軽減して、津波被害軽減効果が発現していることが推定され
た事例が見受けられた。
エ 海岸堤防の本復旧の進捗状況については、24年度末現在において、茨城、千葉両
県管内ではおおむね完了しているのに対して、東北地方整備局等管内及び東北3県管
内では海岸堤防の被害が甚大であったことなどから、海岸堤防の本復旧が必要な地
区海岸数に対する本復旧工事着手済みの地区海岸数の割合は26.7%となっており、
また、被災した海岸堤防の施設延長275.6㎞のうち本復旧工事着手済みの施設延長は
62.3㎞となっていた。
オ 茨城、千葉両県管内の海岸堤防の復旧の取組について、耐震対策等の検討が必要
であったが、海岸堤防の被災状況を考慮した上で、より早期に防護機能を回復させ
下した高さを基準に復旧している海岸堤防において、今後、耐震対策等の追加的対
策の検討が必要となっている事例が見受けられた。
(3) 砂防事業
東北3県管内及び茨城、群馬、長野各県管内において、土砂災害防止施設の被災箇所
数は計40か所となっていた。
山形、茨城、栃木、群馬、千葉、新潟、長野各県の計7県(以下「砂防7県」とい
う。)管内及び東北3県管内における土砂災害が発生した計157か所において、土砂災
害防止施設の効果が発現した事例が見受けられた一方で、土砂災害防止施設が整備さ
れていない事例が見受けられた。また、砂防7県管内において基礎調査が実施されてい
ない箇所が42か所となっていた。
(4) 道路整備事業
2地方整備局管内の直轄国道並びに山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長
野各県の計8県(以下「道路8県」という。)管内の都道府県道等及び市町村道におい
て、橋りょう252橋、道路盛土121か所、切土法面及び斜面78か所等が被災し、このう
ち緊急輸送道路における被災は、橋りょう200橋、道路盛土54か所、切土法面及び斜面
24か所となっていた。
また、東北3県管内の橋りょうの被災状況について、研究機関等が公表している調査
結果等により把握できた被災橋りょう42橋についてみたところ、このうち緊急輸送道
路の橋りょうは15橋となっていた。
ア 緊急輸送道路において、橋りょう等の被災により、2地方整備局管内並びに東北3
県管内及び道路8県管内の186路線の371区間が全面通行止めとなり、応急復旧活動に
支障が生じていた事例が見受けられた。これらの橋りょうの中には、津波により橋
桁が流出したり、耐震対策工事を実施していない橋りょうで落橋又は機能を喪失す
る損傷があったりして甚大な被害を受けた橋りょうが12橋見受けられた。
イ 避難路の橋りょう等が被災して、全面通行止めとなった事例や、市町村が避難路
に選定した都道府県道等の被災情報を迅速に把握できていなかった事例が見受けら
れた。
ウ 優先的に耐震化が実施されていて被災が軽微であった緊急輸送道路が広域的な緊
急輸送に活用されたり、盛土構造の連続する区間の道路が津波浸水被害を軽減した
エ 緊急輸送道路の24年度末現在の復旧状況については、2地方整備局管内及び道路8
県管内で被災した橋りょう200橋、道路盛土54か所、切土法面及び斜面24か所のうち、
橋りょう135橋、道路盛土54か所、切土法面及び斜面23か所の復旧が完了していた。
オ 被災した橋りょうの復旧が仮設橋りょう等による応急復旧段階にとどまっていた
事例や、茨城、千葉両県管内において、液状化により被災した箇所を原形に復旧し
ていた箇所は487か所となっていたが、今後、地盤の改良等の液状化対策の検討を要
する事例が見受けられた。
(5) 港湾整備事業
東北3県及び青森、茨城両県において、2地方整備局が整備した岸壁及び防波堤の被
災箇所数はそれぞれ71バース、27か所となっており、これに東北地方整備局が災害復
旧事業を代行した港湾施設を加えると、岸壁75バース、防波堤29か所となっていた。
ア 耐震強化岸壁については、被災が軽度であったり、通常の岸壁と連続している箇
所において、その被害が通常の岸壁に比較して部分的で、応急復旧後の暫定供用開
始が比較的早期となっていたりしていた事例が見受けられた。
また、津波防波堤について、背後地への津波高の低減、津波到達時間の遅延等の
一定の効果が確認されている事例が見受けられた。
イ 港湾関係の建設団体と災害発生時に実施する応急対策業務に関して、あらかじめ
災害協定を締結し、震災時において航路啓開等の作業を早期に開始できた事例が見
受けられた一方で、5道県の港湾において、災害協定を締結していない港湾管理者も
見受けられた。
ウ GPS波浪計による観測データを伝送する全国の陸上局の建屋15施設について、
その耐震性が確認されていない建屋が1施設見受けられたが、14施設については耐震
性が確認されていた。
(6) 下水道事業
管路については、東北3県管内及び茨城、栃木、千葉、新潟各県管内において、117
下水道事業主体が整備した管路延長計35,622.7㎞のうち計648.0㎞が被災しており、終
末処理場及びポンプ場については、東北3県管内及び茨城、栃木、埼玉、千葉、長野各
県管内において、33下水道事業主体が整備した終末処理場37か所、ポンプ場28か所、
計65か所が被災していた。
が被災しており、その割合は3.1%となっている一方で、液状化対策が実施されてい
ない管路延長1,710.5㎞のうち153.7㎞が被災しており、その割合は9.0%となってい
て、液状化対策の実施の有無による被災の割合におよそ3倍の差が認められ、下水道
耐震指針に基づいた液状化対策により一定の効果が発現したものと推定される。ま
た、要求される耐震性能を確保した管路は、被災が比較的軽微となっているなど、
管路の耐震対策の実施により一定の効果が発現したと推定される事例が見受けられ
た一方で、耐震対策を実施していない管路が被災した事例が見受けられた。
イ 東北3県管内及び茨城県管内の津波により被災した終末処理場及びポンプ場計32か
所については、いずれも津波対策が講じられておらず、これらの中には、津波から
防護するための海岸堤防が整備されていない区間にある終末処理場や設置場所が津
波浸水予測区域内となっているポンプ場等が見受けられた。そして、終末処理場及
びポンプ場の被災により、被災前と同様の水処理等が行えない事態が見受けられた。
ウ 下水道施設の本復旧の進捗状況について、24年度末現在で、東北3県管内及び茨城、
栃木、千葉、新潟各県管内の被災した管路延長648.0㎞のうち本復旧が完了している
管路延長は433.4㎞となっており、また、福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、長野各県
管内の津波以外で被災した終末処理場21か所及びポンプ場12か所については、全て
本復旧が完了していたが、東北3県管内及び茨城県管内の津波により被災した終末処
理場16か所及びポンプ場16か所のうち本復旧が完了したのはそれぞれ11か所(完了
率68.8%)、9か所(同56.3%)となっていた。
エ 茨城、栃木、千葉、新潟各県管内の管路や、東北3県管内及び茨城県管内の終末処
理場等の本復旧の取組について、耐震対策の検討や津波対策の実施において、施設
の被災状況等を考慮した上で、より早期に回復させる必要があったために、耐震計
算を行わず、原形に復旧している管路工事が172件、津波対策を実施しておらず、原
形に復旧している終末処理場等が23か所見受けられるなど、今後、これらの下水道
施設は耐震対策、津波対策等の追加的対策の検討が必要な状況となっていた。
(7) 公園事業
東北地方整備局管内及び東北3県管内において、被災した公園数は52公園事業主体の
計197公園(うち国営公園1公園)となっており、災害査定箇所数は計242か所となって
いた。また、関東地方整備局管内及び茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、新潟各県の計
計135公園(同1公園)となっており、災害査定箇所数は計193か所となっていた。
ア 関東地方整備局管内及び公園6県管内において、被災した135公園のうち、供用面
積1ha以上の公園93か所における被災状況については、津波により被災した公園は2
公園となっていた。また、地震動及び液状化によって被災した公園は40公園となっ
ていて、このうち、防災公園として位置付けられていたのは23公園であり、中には
液状化による被災が著しいなどのため避難地等として活用されず、公園の防災機能
が発揮できない事例が見受けられた。一方災害発生時に避難地等として活用された
公園は53公園あり、このうち43公園が防災公園として位置付けられていた。
また、沿岸部の公園において、園内に整備されている樹林帯等により津波被害軽
減効果が発現していることが推定された事例が見受けられた。
イ 公園の復旧状況について、24年度末現在で、2地方整備局管内並びに東北3県管内
及び公園6県管内の被災を受けた332公園のうち、復旧が完了した公園は302公園であ
り、これらは基本的に原形に復旧されていた。そして、中には、液状化が発生した
公園において、今後、液状化対策の検討が必要となっている事例が見受けられた。
(8) 治山事業
東北、関東両森林管理局(以下「2森林管理局」という。)管内並びに東北3県管内
及び青森、茨城、千葉各県管内において、海岸防災林等の被災は計69か所(被災延長
171.8km)、2森林管理局管内並びに東北3県管内及び秋田、山形、茨城、新潟、長野各
県管内において、山地災害による治山施設の被災は計76か所となっていた。
ア 海岸防災林や人工砂丘等により、津波被害軽減効果が発現し、津波による被害が
軽減された事例が見受けられた一方で、被災を受けた海岸防災林3,659.2haの中には、
林帯の地盤高が低く地下水位が高い箇所では海岸防災林が流失し、津波被害軽減効
果が発現しなかった箇所が見受けられた。また、台風等の被害により、海岸防災林
の現況と森林簿が異なっている地区が見受けられた。
イ 山地災害による治山施設の被災箇所数76か所は、災害報告が行われた被災箇所38
3か所の情報を基に事業決定されているが、災害報告が行われた被災箇所のうち山地
災害危険地区として把握されていない233か所で被災が多数発生し、58か所において
人家、道路等の保全対象施設に被害が生じていた。
ウ 流域の上流に位置する国有林に存在する不安定土砂量等の情報を下流に位置する
エ 24年度末現在の復旧の進捗状況については、海岸防災林等は17か所(被災延長53.
4km)、山地災害による治山施設は63か所でそれぞれ復旧が完了していた。
オ 海岸防災林等の69か所の復旧及び再生において、24年度末現在で、整備中又は完
了した40か所の中には、林帯の地盤高さを確保するための盛土工を施工している事
例や、海岸防災林やその後方にある保全対象施設が被災したことを受けて、新たに
海岸防災林の前面に人工砂丘等を施工して、津波被害の軽減効果を高める対策を実
施している事例が見受けられた。
(9) 漁港整備事業
東北3県管内及び茨城、千葉両県管内において、355漁港(うち防災拠点漁港28漁
港)のうち273漁港(同25漁港)が被災していた。そして、漁港施設の被災箇所数2,8
25か所のうち防波堤及び岸壁の被災箇所が全体の58.3%を占めていた。
ア 被災した防災拠点漁港25漁港のうち耐震強化岸壁が整備されている6漁港では、が
れき等の処理等被災地の復旧に重要な役割を果たした漁港が見受けられた一方で、
計画されている耐震強化岸壁が整備されていない19漁港の多くは、広範囲にわたる
通常岸壁の転倒やエプロン舗装の破損、流出等によって、緊急物資の輸送等の機能
が発現できなかった事例が見受けられた。
イ 被災した273漁港の漁港背後集落等481地区のうち背後に崖や山が迫る狭あいな地
形又は急傾斜地に立地している地区が214地区あり、大規模な津波により被害を受け
た事例が多数見受けられた。また、津波浸水予測区域内にある避難場所を始め多数
の避難場所において、津波浸水被害を受けている事例が見受けられた。
ウ 被災した273漁港のうち、査定額が確定している272漁港(被災箇所数2,825か所)
における24年度末現在の復旧の進捗状況については、33漁港(被災箇所数108か所)
は復旧が完了していた。
エ 防波堤等の復旧に際し、天端高の嵩上げ等を併せて施工し、施設の従前の効用を
向上させて整備している事例が見受けられた一方で、被災した防災拠点漁港25漁港
のうち、耐震強化岸壁の整備が検討されている19漁港については、24年度末現在で、
その復旧に併せて耐震強化岸壁として必要なレベル2地震動に対応することとはなっ
ていない箇所が見受けられ、今後、耐震対策等の検討が必要な事例が見受けられた。
(10)農業農村整備事業
木、群馬、埼玉、千葉、新潟、長野各県の計9県(以下「農業9県」という。)管内及
び東北3県管内において、開水路が計2,314.8km、パイプラインが計110.2km、ポンプ場
が計517か所、ため池が計604か所被災していた。
ア 2農政局管内及び農業9県管内における農業用施設の被災前の耐震点検及び耐震整
備は、それぞれ1か所のため池を除いて実施されておらず、耐震点検が実施されない ..
まま被災した施設の中には、その立地や周辺状況から二次災害によりライフライン
等への影響が極めて大きいと考えられる重要度の高い施設が大半であり、現に、農
業用施設の被災により財産及びライフラインに影響した事例が見受けられた。
イ ため池において、ハザードマップの作成及び住民への公表が行われていた事例は
なかった。
ウ 24年度末現在の復旧の進捗状況については、開水路は404.7km、パイプラインは6
8.6km、ポンプ場は300か所、ため池は441か所において復旧が完了していた。
エ 2農政局管内及び農業9県管内におけるパイプラインの復旧に当たり、液状化によ
る被災延長40.1kmのうち37.2kmについて液状化対策が実施されず、今後、液状化対
策の検討が必要な状況となっていた。
(11)集落排水事業
茨城、栃木、千葉、新潟、長野各県の計5県(以下「集排5県」という。)管内及び
東北3県管内の88市町村の313か所において、集落排水施設(汚水処理施設95か所、管
路延長263.9km等)が被災していた。
ア 集排5県管内における汚水処理施設において、現行の農業集落排水設計指針で要求
される耐震性能が確保されているのか把握されていない施設が24か所あったり、管
路施設において、液状化に伴う道路の陥没等により13市町村の296か所で交通障害が
発生したりしていた。
イ 24年度末現在の復旧の進捗状況については、68市町村の231か所は復旧が完了して
いた。
ウ 管路の復旧に当たっては、液状化による被災延長205.7kmのうち201.3kmにおいて
液状化対策が実施されていたが、4.4kmでは原形に復旧されていて、今後、液状化対
策の検討が必要な状況となっていた。
(12)各事業における被災状況及び復旧状況は、上記(1)から(11)までのとおりであり、各
ア 被災状況について
(ア) 主として災害予防対策に資する施設に係る事業において、
①耐震対策、液状化対策、津波対策等を実施したことなどにより、効果が発現し
た事態
②耐震対策等が実施されていない施設等が、地震動、液状化、津波等により施設
又はその周辺が被災した事態
(イ) 主として災害に対する応急復旧活動に資する施設に係る事業において、
③広域的な緊急輸送や避難地等に活用された事態
④地震動、液状化、津波等により災害発生直後から必要な救助、救急活動等に支
障が生じた事態
イ 復旧状況について
⑤再度災害の防止を考慮して復旧を実施した事態
⑥原形に復旧していて、今後、追加的対策の検討が必要な状況となっている事態
上記の①から⑥までの事態別に、各事業における主な事例を分類すると表2のとおり
となっている。
表2 事例の事態別分類
検査の結果に対する所見
国は、阪神・淡路大震災以降、公共土木施設等の地震・津波対策を耐震基準の見直し
を行いつつ実施してきた。実施に当たっては、必要な箇所の公共土木施設等の整備のほ
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
災
害
予
防
施
設
河川事業4件
海岸事業2件
砂防事業1件
下水道事業2件
治山事業3件
海岸事業2件
下水道事業3件
治山事業5件
農業農村整備事業2件
集落排水事業1件
- -
下水道事業1件
治山事業1件
農業農村整備事業2件
集落排水事業2件
海岸事業2件
下水道事業2件
農業農村整備事業1件
集落排水事業1件
災
害
応
急
復
旧
施
設
道路整備事業1件
港湾整備事業2件
漁港整備事業3件
道路整備事業1件
漁港整備事業1件
道路整備事業3件
港湾整備事業2件
公園事業4件
漁港整備事業1件
道路整備事業2件
公園事業2件
港湾整備事業1件 道路整備事業1件
公園事業1件
漁港整備事業1件 機
能
区
分
分類項目
被災状況
復旧状況 耐震対策等の実施状況と被災状況
災害に対する応急復旧活動に資するための施
か、最新の耐震基準に基づき、耐震対策工事を行うなど既設の公共土木施設等の耐震化
を図ってきた。また、近年、大規模地震の発生の切迫性が指摘されていることから、公
共土木施設等の整備内容が地域の実情に応じた適切な段階に達するよう、地震防災に関
する特別の措置を定めた法令等を整備するなどして、地震・津波対策を推進してきた。
このような中、東日本大震災において、津波により太平洋沿岸部に多大な津波被害が
もたらされ、津波以外にも、地震の揺れや液状化、地盤沈下、ため池の決壊等によって、
広範囲で被災し、各種ライフラインも寸断された。
そして、25年次に、公共土木施設等の地震・津波対策の実施状況等について検査した
結果、東日本大震災を踏まえて、今後、地震・津波対策を実施していくに当たり、留意
しなければならない状況が見受けられた。
したがって、我が国の厳しい財政状況の下で、国土交通省及び農林水産省は次の点に
留意して、自ら又は地方公共団体等に助言するなどして地震・津波対策を適切かつ計画
的、効率的に実施するよう努める必要がある。
1 地震・津波に対する耐震基準等の改定状況
国土交通省及び農林水産省において、東日本大震災を踏まえて、必要に応じて、施設
における耐震基準等の見直しなどを着実に実施するとともに、準用している規定の元と
なっている他事業の耐震基準の規定の改定状況等に留意した見直しを行う。
2 地震・津波対策に係る整備、補強等の進捗状況
国土交通省及び農林水産省において、24年報告の検査の結果に対する所見に留意しつ
つ、震災後に取り組んでいる地震・津波対策を引き続き推進し、災害予防対策に資する
施設、あるいは災害に対する応急復旧活動に資する施設として、それぞれの施設が有効
に機能するようにする。
3 東日本大震災に伴う被災等の状況
(1) 国土交通省において、主として災害予防対策に資する施設に係る事業である河川、
海岸、砂防、下水道各事業については、国民の生命と財産を守るために、河川堤防、
海岸堤防、水門、下水道施設等の耐震対策、液状化対策、津波対策等の対策、土砂災
害防止施設の整備等を計画的かつ着実に実施するとともに、水門等の閉鎖体制の構築
等の対策を組み合わせた総合的な対策により被害の最小化を図る。そして、主として
災害に対する応急復旧活動に資する施設に係る事業である道路整備、港湾整備、公園
対策等を計画的かつ着実に実施するとともに、広域的な緊急輸送を確実に行えるよう
緊急輸送道路網を構築したり、港湾において緊急物資等の受入れが早期に行えるよう
関係機関との航路啓開等の応急対策に必要な実施体制等の取決めを締結したり、公園
等の避難地としての活用等が円滑に行われるよう避難に必要な情報を共有したりなど
する。
(2) 農林水産省において、主として災害予防対策に資する施設に係る事業である治山、
農業農村整備、集落排水各事業については、国民の生命と財産を守るために、山地災
害危険地区の把握に当たり、国有林及び民有林が所在する関係市町村と連携し、可能
な限り効率的に保全対象の情報を収集するとともに、その情報を考慮した上で、危険
地区の再点検等を実施し、農業用施設及び集落排水施設については、被災による二次
災害への影響等を考慮した上で、重要な施設に係る耐震性能の確保に努める。そして、
主として災害に対する応急復旧活動に資する施設に係る事業である漁港整備事業につ
いては、防災拠点漁港の整備に当たり、岸壁等の耐震強化対策の実施、津波による航
路及び泊地へのがれき等の堆積を防止するための対策等に努めるなどして、緊急物資
等の海上輸送による救援活動が円滑に行える体制を整備する。
(3) 国土交通省及び農林水産省において、被災した施設等の復旧等に当たり、東日本大
震災のような甚大な被害が再び生ずることのないよう、耐震対策、液状化対策、津波
対策等を実施するなどして引き続き計画的かつ着実な早期の復旧等に努める。
そして、津波対策の実施に当たっては、関係部局等が連携を図ることなどにより、
津波被害軽減効果のある施設等を適切かつ総合的に組み合わせた対策を着実に推進す
るよう努める。
以上のとおり報告する。
会計検査院としては、24年次に、主に地震・津波対策に係る公共土木施設等の整備、
補強等の進捗状況について、近年、大規模地震の発生の切迫性が指摘されている太平洋
沿岸の地域を中心に検査を実施した。
そして、25年次に、主に東日本大震災に伴う被災等の状況について、被災地域を中心
に検査を実施して、被災状況、復旧状況等について、本報告書で報告しているところで
ある。今後とも、公共土木施設等における地震・津波対策が適切かつ計画的、効率的に